2014年12月18日木曜日

詩 「寒気の中で」

三石博行

岩本拓郎作(2014年12月11日)


















岩本拓郎氏の幻想的な絵を観ながら

「寒気の中で」


色彩流に吸い込まれる
論理の粒は
感情の流れの筏の上から見えない
ましては、
筏の上の主体の姿も見えない

何がベストだというのだ
何が合理的だというのだ

原発をストップすることさ
火力発電からの二酸化炭素の排出をやめることさ

生温い温室の植物たちは叫ぶ

すると、
北風は囁く
「暖房のスイッチを切っていいですね」

すると、
植物は震える
「それは困ります
凍死してしまいます」

しかし
勇気を振り絞り
植物は言ってみた
「原発も火力発電もいやなのです」

こんどは
雪空が言い出した

今日の議論は、これでやめましょう
生死を決める決断は、やめましょう

明日になれば、
きっと何か素晴らしい解決が
生まれるでしょう

さらに、バケツの氷も言い出した
これから、休戦宣言を出します

本音を言えば
寒さは嫌なのです

白い色彩流の中に、
論理の整数たちが立ち止り

困惑の方程式はばら撒れ

もうこれ以上、曲は創れません
メロディーは生まれません

色彩流に吸い込まれながら論理の粒は
今日は、ゆっくり休んで行きなさいよ
今日は、静かに眠りなさいよ
と言葉を残して
消えて行った

色彩流に吸い込まれながら論理の粒は
今日は、凍死しないですんだね
今日は、餓死しないですんだね
と言を残して
消え去った

これはいつも始まる
寒い日の話なのです




三石博行詩集 『心象色彩の館』

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