2011年6月23日木曜日

西野方庸氏(関西労働者安全センター事務局長)の講演会「原発被ばく問題のこれから」開催予定

7月16日(土)14時‐16時(京都奈良EU協会第三回講演会)


三石博行


作業員犠牲の上に進む原発事故の対策・処理作業

関西労働者安全センターは、岩佐原発被曝裁判を始め1970年代から今まで長年にわたって、原発内で働く人々の労災問題に取り組んできた。(1)(2) 今回の原発事故では多くの人々が事故処理や事故防止のために危険な職場で働いています。これらの人々の命と健康の課題が今後大きな問題となることは避けられない。

危険な職場で働く人々によって、今、福島第一原発の事故処理と事故防止が進んでいる。これらの人々の命、健康、生活や家族の犠牲の上に、これからの安全な原発を維持しなければならないことを真剣に考える必要がある。そして、同時に現在、福島第一原発で働く人々の今と明日を守る社会や国の姿勢が問われている。

今回の福島第一原発事故では、原発内で多量の放射線量が発生しており、短時間の作業で年間被曝線量の限界値100ミリシーベルトを超える事態が発生している。現実に福島第一原発の作業員は15分程度で交代する必要が生じていると報道されている。(3) そのため、現場では作業員の不足という深刻な事態に直面している。そこで、政府・厚生労働省は福島第一原発に限って作業員の年間被曝量の限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに2.5倍に上げ、作業員の作業時間の延長を行おうとしている。

今回の政府の特別措置は、原発事故をこれ以上拡大させないための不可避的対策である。つまり、原発大事故という国の危機的状況の中で、原発作業員の犠牲の上に原発事故処理と安全対策が現在進行しているのである。

最近の報道によると、東京電力は6月20日、250ミリシーベルトの被曝限度を超えた東電社員が9名になったと発表している。3月の作業で内部被曝を測定していなかった作業員が125名いる。そのうち69名に連絡が取れていない。(4) また、厚生労働省は3月に原発復旧作業に従事した下請作業員3700名中約30名の身元が特定できていないことを発表した。(5)つまり、今後の原発作業員の被曝障害の課題として、すでに多量の放射線量を被曝していると予想される東電社員のみならず下請け業者の作業員の長い日数を経過した後に発症する可能性のある健康障害やその早期発見のための健康管理が問題となるだろう。


西野方庸(にしのまさのぶ)氏からの講演紹介

京都・奈良EU協会の講演会シリーズ「医師・専門家からみた福島原発事故」の第三回目では、関西労働者安全センター事務局長や連合大阪労働安全衛生センターの参与をしておられる西野方庸(にしのまさのぶ)氏に今後の福島第一原発事故が引き起こす放射線被曝による労働災害や職業病の問題に関してお話をして頂きます。

「政府はこれまでの労働安全衛生法で定めていた放射線の被曝線量の限度を2.5倍に引き上げ、
緊急時作業の被ばく限度を2.5 倍に引き上げ、年間被ばく限度の特別扱い、限度以上被ばくした作業員が8人・・・。福島第一原発事故をめぐる作業員の被ばく問題が盛んにマスコミ報道されています。
しかし放射線による晩発性障害は確率的影響で、労災保険や損害賠償では因果関係をどう考えるかが問題です。これまでの原発被ばく問題の取り組みを紹介し、今後の原発被ばく対策の問題点を考えます。」(西野方庸)

テーマ 「原発被ばく問題のこれから」チラシ
日時 6月18日(土)14時~16時 
場所 クリニックサンルイ 京都市山科区安朱南屋敷町35木下物産ビル4F

講演会のチラシのダウンロードはここをクリックしてください。


今後の講演会の紹介

第4 回  2011 年8 月 6 日( 土) 14 時
テーマ「原発作業員と放射能被爆障害に関するテーマ」(予定されている課題)
講師: 長尾和宏医師 (長尾クリニック院長)

第5 回  2011 年9 月3 日( 土) 14 時
テーマ「被曝労働者の職業病への治療 谷口プロジェクト」(予定されている課題)
講師: 谷口修一医師 (虎ノ門病院 血液内科部長)


京都奈良EU協会のシリーズ京都講演会の紹介
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/syakai_01_01.html


参考資料

(1)『原発と闘う-岩佐原発被曝裁判の記録-』 「岩佐裁判の記録」編集委員会・編/八月書館1988年 を紹介しているブログ
http://blog.goo.ne.jp/ryuzou42/e/badda54cc4c6ac1dd741cddb5f92cbde

(2)関西労働者安全センター 「多発性骨髄腫で労災請求 -原子力発電所での被曝が原因 富岡労基署(福島県)」
http://www.geocities.jp/koshc2000/accident/OID.html

(3)日本テレNews
http://www.news24.jp/articles/2011/03/16/07178558.html

(4) 中日新聞 CHUNICH Web 「社会」 2011/06/23
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011062190003554.html

(5)毎日jp 毎日新聞 2011年6月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110621ddm041040085000c.html

(6)原発で働く人々の命と健康を守るために奮闘しているsavefukushima50のサイト
http://www.savefukushima50.org/

(7)noixさんがmixiで紹介しているサイト「福島原発事故における被ばく対策の問題・現況を憂う――西尾正道・北海道がんセンター院長(放射線治療科)(1)(7まで)」2011年6月27日 東洋経済 
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/548a752507bc6c3aa0fd3db058e8098a/page/1/



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東日本大震災関連ブログ文書集

1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html

2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
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2011年6月23日 誤字修正
2011年6月28日 引用補足

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