2011年4月26日火曜日

震災・津波被害からの復興と原発事故対策を分けて対策を立てる必要性

震災に強い国を作る(3)B

三石博行

東日本大震災罹災者と福島原発事故罹災者は異なる立場にある

今回の東日本大震災からの復興構想を考える時、過去に例のない非常に大きな問題は、東電福島第一原発事故が起こったことである。この事故によって、阪神淡路大震災等のこれまでの自然災害にたいする復興活動と異なる課題を抱えた。

4月24日、第二回目の「東日本大震災復興構想会議」(1)後、NHKで会議参加者を集め公開議論がなされた。その報道を見ている国民は、今回の東日本大震災が抱える課題の深刻さに気付いたと思う。何故なら、その場にいた復興構想会議のメンバーで、震災と津波の被害を抱えている立場と東電原発事故を併合している人々の議論の立て方が異なることに気付いたからである。

つまり、東日本大震災復興とは災害はすでに起こり、その被害が残り、そこからどのようにして生活の場を復旧し復興するかという立場にある人々の課題である。従って、復興構想会議の基本的な立場には、被害が現在進行形で進んでいる福島原発事故の罹災者の立場が組み込まれないことになる。

つまり、今回の東日本大震災は二つの課題を持つ。一つは震災・津波で受けた大災害からの復旧復興の課題である。もう一つは現在進行しつつあり、今後その被害がどこまで進行するか未定の状況におかれている福島原発事故の罹災者が抱える被害からの救済と進行形の災害を食い止める課題である。


東日本大震災復興構想会議への提案 二つの異なる課題への対策部会の形成

その二つの異なる課題を分けないで復興構想会議が今後も行われることが、両方の立場に人々にとって不幸な事態が生じる可能性がある。何故なら、一つ目の、震災・津波で受けた大災害からの復旧復興の課題に取り組む人々は、その速度が遅くなる可能性がある。もう一つ目の、福島原発事故の罹災者が抱える被害からの救済を課題にしている人々は、被害は進行しつつあるため、震災復興の議論が自分達と縁遠く感じる可能性がある。

東日本大震災復興構想会議は、この二つの課題を分けて、震災津波の被害を受けた地域、岩手県や宮城県の人々への対応と、それに加えて原発事故の被害を受けつつある地域、主に福島県の人々への対応を分ける方が、復興構想会議の作業効率が上がると思える。

また、原発事故は現在進行形であり、こらから放射能が拡散する地域や震災被害を受けていないが原発事故による風評被害を受けている地域もある。つまり原発事故被害地域は、現在未定であり、今後さらに広がる可能性を持つ。その意味で、原発被害に関する部会を作り、その課題に対応した議論を行う方が復興会議としては運営しやすいのである。

特に、原発事故に関する復興構想会議部会は、原発被害救済のみでなく、現在の原発の安全管理や危機管理に関する提案、さらにはエネルギー政策にまで踏み込んだ議論を展開しなければならないだろう。その議論を、国民運動として展開するためにも、復興構想会議が原発事故の部会を形成した方がより目的や課題を明確に国民に示すことができ、より有効な将来への議論が展開されるだろう。



参考資料

(1)内閣官房 「東日本大震災復興構想会議」
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/


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ブログ文書集 タイトル「東日本大震災に立ち向かおう」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
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2011年4月27日 修正(誤字)

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