2010年4月1日木曜日

人的資源の確保と育成のために

三石博行

はじめに

何故、組織はその運営において人を育てなければならないのだろうか。それは組織とは人によって作られ、人によって運営され、人を形成するからである。人は組織にとって人的資源である。資源という表現によって人が物化するように思われるだろう。しかし、資源ということばによって、人という労働の質が具体的な企業経営の要素となる。人を活用し、また育てることの出来る組織のリーダのあり方について述べてみる。


人が資源でることを理解している人をリーダと呼ぶ

組織にとって人的資源は最も大切である。人材を集め、人材を活用し、人材を育てることの出来ない限り組織は発展しないだろう。何故なら、価値を生み出す力は人の働きにあるからだ。能力のある人が集まり、その能力が発揮され、また人の能力を育てる企業が経営的にうまくいっているといえるだろう。

その意味で、組織運営を行う人々は、組織の資源である人材について知らなければならない。もし、経営者が雇用している人々の能力に関する資料を持っていないなら、その経営者達は会社の資産管理のデータを持っていないのに等しい。

あるベンチャー企業の話であるが、一般にベンチャーといえば知的生産の拠点を意味する。知的生産力が高いことがその企業の命なのである。しかし、その企業の社長は、そこに勤務する職員の履歴を管理していない。そのため、折角雇っていても、部署に配属された状態の職員の姿しか見えない。

多くの人々がそうであるように、年齢を経ることに人々は色々なキャリア経験を重ねてきている。しかし、仮に企業の管理者が、職員の業績を管理していないなら、資産管理をやらない経営陣に等しい行為をすることになる。新しい事業企画を立ち上げるために必要な企業内の人材の活用は出来ないだろう。その度ごとに、新しい人を採用しなければならない。結果的に経費の無駄遣いをすることになる。

また、組織の人的資源を管理することによって、職員の適材適所の配置、能力開発、企業教育やバランスある人的資源日常的活用が可能になる。

よく企業で中間管理職になった職員が途方もない残業をしていたり、いつまでも派遣やパートで仕事をしている非常勤の職員が職場の大多数を占めていたりする場合がある。安く労働力を確保することで、質の高い労働力を確保すること機会を失っている場合もある。

このような事態は、多くの場合、企業の執行部が、人が組織の財産であるとう企業思想を持ってないことによって発生している。

人をうまく使うということは、人の積極性や能力を引き出すことであって、人を機会の一部のように消耗品として使い尽くすということではない。例え単純な作業であっても、仕事にはその仕事の質、言い換えると労働のスキル、顧客を大切にするサービス精神、仕事への思い(こころの入った仕事と呼ばれる)ものがある。それは、企業の執行部が働くひとを尊重することから生まれるだろう。

そのことがよく理解できた人をリーダと呼ぶ。それが理解できていない執行部は、多分、仕事の能率を上げることも、仕事の質を上げることも、仕事のなかで人を育てることも出来ないだろう。これは組織を運営する人々が身につけなければならない最低限の考え方だと思う。


人を育てる評価制度が職場を変える 

人的資源を管理するために必要な手段として評価がある。職員の仕事ぶりと仕事内容を評価する基準を持たない限り、職場での人材育成、質の高い労働力の管理は不可のである。

労働の評価ということばは常に否定的な意味で使われてきた。勤務評定がその一例である。職員が納得でないし、それどころか反対している評価の仕方や評価内容を持ち込むことで、評価という集団はむしろ職場の労働の質を悪くする材料になってしまう。

長年、小学生から大学生まで、テストで苦しめられたトラウマが評機構の存在意味、つまり評価する作業の社会的機能を正しく理解することができないようにしている。そのため、評価とかテストと聞いただけで嫌な気持ちになる。これは仕方がないことだ。

人の能力開発に役立つテストのやり方を纏めると以下のようになる。

1、評価の目的を明確にすること。評価は問題解決のための一つの手段と考え、評価されることのメリットを常に考えること。

2、評価の基準を明確にしておくこと。レッスン1の英語を理解したかという目標に対して、レッスン1に関するテストが準備されているように、評価とは何かある目標に向かって努力したことへの評価である。従って、評価の基準や評価内容を具体的にし、公開すること。そのことによって、評価を受ける側が、その評価を受ける行為を通じて獲得したい目標を明らかにすることが出来る。

3、評価とは評価を受ける人々にとって「自分の能力開発にとって必要な方法」として理解される形式や内容を検討すること。

4、例えば、テストをより理解を深めるための作業である。その考えに基づいているテスト形式が公文式のテストである。自分の理解度を自分が試し、評価し、能力開発の計画を自分で立てることが出来る形式を公文式のテストは与えている。公文式テストが最も理想的なスタイルをしているといえる。

5、評価する方とされる方が常に入れ替わること、つまり相互評価をする。


評価の仕方を考えることで、職員自ら、積極的に職場の仕事質や職員のスキルを向上させることが出来るだろう。


仕事を前に進めるための名言発案者

名言というものがある。ブログ村の哲学ブログの仲間が書いている「悩んだときには名言を」というブログがある。
http://ootanmax.blog45.fc2.com/


そのブログで選ばれ記載されている名言を読むと、なるほどと思う。名言とは、ものごとの本質を短い言葉で言い表し、現実の世界の姿や真摯な生き方、前を向いて生きようとするこころ、何かを希望する力や生命力を励ますことが出来直感的なことばである。


リーダとは現場の困難に立ち向かい、自分を向上させ続ける職員を勇気付けるために、職場に必要な名言を言い続ける人々である。名言集を暗記しているから名言が言えるのではないだろう。気持ちに響くことばを言うことは、具体的な現実とその中で働く人々の感性と解決したい問題の本質を理解しなければならないだろう。


職場のリーダはそうした仕事に立ち向かう人々のこころ、その内面性を理解しなければならないだろう。

参考
同ブログ文章 「労働に質を高めることの意味」 
http://mitsuishi.blogspot.com/2010/03/blog-post_9095.html


にほんブログ村 哲学・思想ブログへ

0 件のコメント: